「広く浅く」か、「狭く深く」か

 人との繋がり方は、最終的には「狭く深く」が自分には合っている気がする。というより、深い人間関係を築けそうな人間が周りにそう多く存在しない。周りに見えるのは、正直に言って何も考えていなさそうな人間ばかりだ。

 深い関係を築くために「広く」人間と関わる試みは続けてきた。誰にでも話しかけ、(半ば無意識に)相手に合わせる仮面を作り、良好な人間関係を構築しようと努めてきた。その努力が無駄だったとは思わないけれど、それほど大きなリターンがあったとも思わない。そこまで大きな労力を投資しなくても、しっかりと観察すれば少ない労力で良い人間関係を構築することができたのではないかとも思う。

 良い人間関係とは何だろうか。自分に「良い」影響を与えてくれる人間はそう多くない。大半は当たり障りなく過ぎ去っていく人たちばかりだ。もちろん、そのような人たちにも優しく接しつづけることは大切だが、自分を削りすぎることに意味はない。「広く浅く」を手始めに、「狭く深く」を目指すやり方を意識せずとも、生きているだけで多くの人と出会い、相性の良い人間だけが勝手に残っていく。